セーフティマネジメントにおける事例紹介

事例1:建設業T社

足場の崩落により溶接工が落下、死者1名を出した事故の場合。マンション建設中の現場で、溶接工が一人で足場を組み立てていた。

一時的に足場を壁に取りつけるために、L字型据え付け用金具を溶接していた。溶接工は、このタイプの金具を取り付ける訓練を受け、その資格は持っていた。

一時的に溶接して固定した後、溶接工は足場の上を歩いた。

取りつけたL字型据え付け用金具の1つが外れて、足場が傾き、溶接工は地面に転落して死亡した。ハーネスを着用していたが、固定していなかった。

再発を防止するために、BBSの手法を用いて、チェック項目を徹底させた。

作業を分解して、行動の一つ一つをチェックした結果、足場を組み立てて使用する前に必ず溶接個所を検査するようにし、高所での作業は必ずハーネスを着用して固定することを決める。

事例2:メンテナンス企業B社

室内での塗装作業をしていた時に、突然、作業者が気を失った。

離れた場所で作業していた他の社員が駆け寄るが、同じように気を失った。

その空間が、塗装のためにビニールカバーで養生をしていて密閉されたスペースになっていた。一酸化炭素中毒であった。

搬送の途中に二名とも死亡。この事故により取引先数社との契約が解除された。

再発を防止するために、BBSの手法を用いて、作業前に酸素の状況を確認することと作業中の換気や作業者の健康状態のチェックも行うようになった。

過去に他社の例で換気用のエアポンプが故障して、酸素が送り込まれないケースがあったので、その点も注意した。また事故発生後の救出後の処置法についての学習も行った。

事例3:食品会社S社

地方政令都市の中堅スーパーにて、販売されていた食品会社S社製造の商品の中に異物が購入されていると消費者より連絡が警察へ連絡が入った。製造工程で出る何らかの廃棄物が混入している疑いがあるとして、同日に出荷された2000ほどの商品をすべて回収して調査を行った。

うち23の商品に同様の異物混入が発覚。謝罪会見において、社長のコメントが不適切であり、視聴者などからクレームが寄せられた。そこで再び謝罪会見を行ったが、現状の認識が不十分だったので、さらに印象を悪化させた。製造上のミスのみでなく、その後の対応の悪さが重なり二重で企業のイメージをダウンさせてしまった。同社では事件発覚後、製造工程、オペレーション全ての工程を徹底検証。

再発を防止するために、BBSの手法を用いて、ミスや事故・トラブルの発生を防止。

現在まで混入率0を実現している。さらに、事後の対応についても、事前に確認できるような体制づくりを行った。全社員の意識改革を中心に展開して、新しい改善された企業イメージを発信できるようになっている。

 

 

事例4:プライベートリスク例(複数社)

企業や公的機関などのトップが、プライベートにおけるリスクにより、その組織の運営に支障をきたす例がある。
不動産会社A社の某専務の自宅に、宅配業者を装った男が押しかけ、応対に出た妻を襲い、被害を負わせた。同社は、宅地開発の件で同業他社と商取引上のトラブルを抱えていた。上場企業であり、経営陣の住所が公にされていた……下記(1)例
BBSは、上層部の役員に対して、家族関係から公私の行動までを企業側で把握するように対応させ、危機管理の意識の啓蒙活動をはじめ民間の警護専門の企業との連動をはかるなどの諸策を講じた。

(1)事件 / 上場企業の役員宅に暴漢が押し入り、家族に怪我を負わせる。
(2)病気 / 企業トップが海外渡航中に脳梗塞になり、死亡。
(3)事故 / 公的機関の幹部が移動中に交通事故に遭遇。
(4)災害 / 経営者が休暇中に海外で大地震に遭い、帰国が長引く。

こういった例に関して、組織として事前にどのような対応ができるのかを検討しておく必要がある。
上記例は、プライベートの行動であるために、本人が能動的に行うものである以上、自己責任のもと危険を確認し、行動することが原則である。そこで組織として何か対策に関与することができるかが課題となる。従来は、私的な行動に関して組織が関与しない傾向にあったが、その組織において最重要な任務を担う人物については、むしろ積極的に組織が関与する方向になりつつある。
そこでBBSでは、プライベートのリスクをマネジメントするに際しては、本人の社会地位、役職、担当業務、リスクの程度などを総合的に考慮して慎重かつ柔軟に行うことで、効果的で効率のよい危機防止策を実施している。

事例5:自動車関連機器製造S社

長年の製造現場でのミスやトラブルの改善をはかるために早くから内部監査システムを構築していた。ある日、消費者から販売元へクレームが入り、S社製ブレーキ部品の不具合が発見された。調査の結果、二重三重のチェックシステムが正常に作動していなかったことが判明。S社製ブレーキ部品をリコールが実施され、記者会見で謝罪をすることになった。同社の内部監察チームは、部門を超えた編成であったためにチーム内のコミュニケーションが不足がちであった。また内部監査員のAと被監査部門の従業員のB間が古くから友人であり、両者間に不適切な監査プロセスが行われることで、監査の中立性や公平性がおびやかされていた。企業全体でチェックする機能が形骸化されていて、ミスが見落とされていたことが判明した。

そこでBBSでは、相互監査システムを導入し、マネジメントシステムの内部監査の効率化・有効性を向上させる方法を取り入れた。具体的には、チェックリストを一新して、内部監査員の啓蒙活動を行い、監査能力のレベルアップを図った。

事例6:流通業A百貨店

日曜日の季節バーゲン期間中に地震に見舞われた。陳列棚が倒れるなど被害が生じたために、来店者の避難を検討したが、揺れが小さくて、その後の心配がなかったように思えたために、関係者は新たな情報収集につとめた。放送局から出された震度と震源地のみを館内放送しただけだった。その後、正常に戻ったと思われたときに第二波が襲い、パニックになった来店者が出口に殺到したために転倒者が続出した。従来は、不特定多数の人が来店する百貨店などでは、緊急地震速報が発表された場合には、館内放送で告知することが定められている。揺れに対して身構えることと係員の指示に従うことなどが案内された。ところが、実際には、係員が具体的な指示を出す前に、来店者は行動したことによって被害が生じた。緊急地震速報は、その仕組みとその限界を正しく理解することで、地震の被害を軽減することが可能である。

BBSでは、例え自然災害であっても、被害を軽減させるための行動を明らかにし、特にその後の二次災害や人災につながるものを排除するための仕組みを構築していく。避難路の確保とその誘導の徹底、緊急時の係員の対応の啓蒙などを行った。