「部下がなかなか仕事を覚えない」
「どうしても結果を出せない部下がいる」
「仕事についていけないと、すぐ辞めてしまう」・・・・
ここ数年、部下のマネジメントに関する悩みを耳にする機会がとても増えました。
話を伺ってみると、みなさん実に熱意あふれるリーダーばかりです。
自社が提供している製品やサービスに対して深い愛着を持っていて、会社のために貢献したいという思いも非常に強い。
そしてなによりも、部下のことを考え、育てたいと思い、課せられた目標を達成するために部下を叱咤しつつ、
「彼らには充実感をもって、いきいきと働いてもらいたい」と心の底から願っています。
にもかかわらず、自分が思うように部下は育ってくれない・・・・。
そんなとき、脳裏には次のような思いがよぎるようです。
「こんなに教えているのに、なぜ部下たちは理解しないのか」
「仕事ができないのは、彼らに、”しっかり学ぼう”という姿勢がないからだ」
「いや、そもそも私の部下には能力がないのかもしれない」
しかし、それは違います。
部下ができない、育たないのは、教え手(リーダー)の側に責任があるのです。
ここで勘違いしないでください。
私はリーダーの人格や資質を否定しているのでは、決してありません。
問題は「教え方がよくわかっていない」という一点につきます。
多くの企業では、新入社員に対して入社時に全体研修を行いますが、ここで教える
のは、挨拶の仕方、名刺交換の方法、電話nお受け答えといった企業人としての基本的なマナーと、
会社の事業内容に関する基礎知識まで。
実際の業務に関する教育は、現場のリーダーの手にすべてゆだねられているのが現状です。
現在の日本企業では、成績を上げた淳にリーダーへと昇進していくというのが一般的です。
しかし、ここで注意しなければいけないのは、
自分自身の仕事をこなす技術と、人を育てる技術はまったく別物だということです。
ホームランを量産した4番打者や、数々の記録を打ち立てた名ピッチャーが、必ずしも名監督になるとは限りません。
部下を育成するためには、そのための「教え方」を学ぶ必要があるのです。
そこで、私が着目したのが、教育の効果を高めるための方法論
「インストラクショナルデザイン」です。
これは、「教育」や「学習」を科学的に研究し、
”ものごとを確実に効率よく教えるためには、授業や教材をどのように準備し、どのように教えていけばよいか?”
を体系化したもので、日本では「指導設計」「教育設計」などと訳されています。
「インストラクショナルデザイン」の理論や手法をベースに、今日から実践できる
”部下を育成するノウハウ”をまとめたのが本書です。
この本を読んでいただくと、部下に必要な知識・技能を教え、それを日常の業務のなかで継続・実行させるための
「指導設計」をつくることができます。
これにより、あなたの部下を育成する能力は間違いなく、飛躍的にレベルアップします。
一度しっかりとした「設計図」を作っておけば、新しい部下がやってきたときも、
もちろんそのまま活用できます。
そして「インストラクショナルデザイン」は、部下の育成のクオリティを工場させるだけでなく、その効率も高めます。
つまり育成にかかる時間が短縮できるのです。
企業を取り巻く環境が激しく変化している現在、あらゆる業界で人材の選別が急ピッチで進み、
巨大企業では驚くほど大規模なリストラが行われています。
これからの時代、経営者が残しておきたい人材は、たった2種類に集約されるといっても過言ではないでしょう。
それはすなわち、
「特別な能力をもつスペシャリスト」
「部下を育成し、組織を率いていけるリーダー」
です。
誰でも代わりが聞く人間は、淘汰されてしまう時代がついにやってきたのです。
リーダーにとって部下の育成は、これまでとは比べものにならないほど重要な意味をもちます。
そのための教科書として、本書が大きな役割を果たすことを願ってやみません。
2009年1月吉日 石田淳 |