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1980年代は、管理者教育が全盛を迎え、研修が重要視されていた。
1985年ころ、「職能資格制度」の全盛期。「年功」ではなく「能力」に応じて処遇する時代となった。
そして、管理者研修も、職能用件に対応した教育へ移行した。
そのため、必要な能力のみを強化していくようになった。
1990年ころ、選択教育へ変遷し、2000年ころには「ビジネスリーダーコース」が全盛期を迎えた。
企業のグローバル化が進み、教育テーマがMBA的となった。
そのような経営学を学んだ人材をリーダーに育成する「選抜型」となった。この変遷を詳しく見ていく。


1987年~1995年は日本のマネジメントは、海外から高い評価を受けていた。自分に与えられた仕事や職務に対するコミットメント(思いやり)、会社に対するロイヤリティー(忠誠心)の高さが評価されていた。
だが、現在は会社へのコミットメントが低下しミドルマネジャーの崩壊の危機がある。
そのミクロ面での理由は二つある。
一つは、バブル時代に入社した、現在は課長クラスになりかけている世代。当時大量採用で導入教育とOJTが手薄だった。さらに、大量採用のため、存在感もあった。
そのためある意味での勝手が許されていて、“自由”な新人時代をすごしたのだ。
だが、バブル崩壊と同時に、新入社員が減り、「教える」という機会が減少してしまった。
二つ目は、同じくバブル時代、金融業界でアメリカに対抗すべく、スペシャリストを養成しようと考え始めた。その結果、ミドル世代は一つの部署に固定され、専門家になることを望まれた。
そのため、特定の能力のみ特化し、他への融通が利かなくなってしまった。
また、リストラ、人手不足により部署の変更ができず、経験の幅が極端に狭くなってしまったのだ。
次にマクロ面での理由がある。それが産業構造の変化だ。
1981年、巨大装置産業(鉄鋼、自動車業)が盛んだった。
千人、万人単位で一つのビジネスを推し進める産業であった。
ピラミッド組織ならではの効率化、分担分業という日本企業の枠組みだった。
だが、昨今製鉄業とレコードやビデオなどのコンテンツ業の全輸出付加価値が逆転したという。
よって、個人が付加価値を生む時代へと移り変わり、ピラミッド組織よりは、ゲームメーカーなどに見られる、チームや組織横断型になった。結果、ピラミッド組織では組織の整合性を図る上で重要だったミドルマネジャーの役割がなくなってしまった。
コンテンツ産業を動かしているのは、プロジェクトマネジャーなのだ。
このようなミクロとマクロの変遷により、ミドルマネジャーは大きな打撃を受けてしまった。

バブル崩壊後、トップダウン経営の元で、ミドルマネジャーがプレーヤーとして働くことを要求されてきたという状況を説明してきた。
ミドルマネージャーは、部下や後輩を見つつ、自分もプレーヤーとして働かなければならないという状況にあるのだ。
図表1は、大手企業などを対処としたミドル世代のアンケートの回答者の役割をあらわしたグラフである。

図表2を見ると、「働き甲斐を感じている」ミドルは全体の3分の1であった。
「どちらともいえない」「働きがいを感じていない」と統合すると、全体の3分の2が働きがいを感じていないことになる。

また、図表3をみると、「あなたは今の会社での仕事
に対し、将来の夢や希望を持っていますか?」
との質問に対し、「もっている」と答えた人が全体の約3分の1。ということは、全体の約3分の2は、仕事に対し、夢や希望、働き甲斐も持っていないという結果になるのだ。

図表4によると、経営トップが社員や職場を大切にする具体的な行動をとっていると思っているミドルは約3分の1となっている。
また、経営トップがミドルマネジメントの支援を行っていると思うか、の質問に対しても経営トップが自分たちに対し、企業が重きを置いていないと感じ、なんらの支援も行っていないと感じている人が多いのだ。

この結果から、ミドル世代は、ミドルとして活躍をできていないと感じているのではないだろうか。
働きがいや、仕事に対する夢、希望を持つこともなく、部下を指導する立場としてのスキルも足りないと感じているミドルにとって、マネージメントはかなりの負担になっているのだ。
ミドルマネージャーに求められている役割は主に3つある。
・リーダーシップ(戦略構築)
・マネージャーシップ(チーム育成)
・プレーヤーシップ(自身のビジネス遂行)
それぞれの役割発揮について、時間配分上どの役割を最も優先したしたいかを尋ねると、プレーヤーとマネージャーが同率、リーダーが28.7%であった。
実際は、プレーヤー>マネージャー>リーダーというのが現状のようだ。(図表5)
役割を発揮したいと思っても、実際には発揮できなくて苦悩しているのである。

ではなぜ役割を発揮したくてもできないのだろうか。
役割を発揮できている人と、できていない人に分けて集計をおこなうと、「マネジメント能力」、「マネジメント時間の確保」、「部下の実態把握」、「会社動向の把握」の4項目については発揮できていない人ほど強い阻害要因になっていることが分かった。(図表6)

ミドルマネジャー自身に、自由形式で部下育成の困難さをたずねたところ、3つの要因が発見できた。
1.職場環境・経営環境の変化
2.部下の気質や行動特性の変化
3.支援不足・ミドルの孤立
1は、仕事量増加による付き合いの時間の減少、非正社員の増加などの理由が挙げられる。2は、うつ病の増加、ストレートな表現を控えた指導、しかられることに慣れていない部下への配慮など。3は部下の方がスキルが高い、人材確保の困難化、組織変革のスピード化が挙げられる。
以上のような理由から、ミドルは部下の育成に困窮しているといえるのだ。
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ミドル層約700人、ジュニア層約300人を対象のアンケート調査を行った。
※ミドル層(35歳~41歳)、ジュニア層(22歳~28歳)
図表7は、上下世代に比べ、自分の世代に責務が集中しているかという問いに対するアンケート結果である。
自分たちの世代に責務が集中していると答えたのはミドル層の54.7%で過半数を超えた。対してジュニア層は「思わない」が69.7%だった。
図表8では、その中でも、「仕事の範囲が広すぎる」「業務の量が多すぎる」と答えたミドルが7割近くにのぼる。
2世代で違いが際立ったのは、評価・報酬制度と格差問題だ。
ミドル層に評価・報酬制度を尋ねると「成果主義」が約7割。(図表9)
また同世代に格差を感じているかという質問には「大いにある」と答えたミドルが約4割にのぼった。
(図表10)


ミドルマネージャーの職務環境が、10年前と比べてどう変化したかを人事の責任者に聞いた。(図表 11)
「管理すべき非正社員部下が増えた」「目標難度が高まった」などのほか、ストレス増加、労働時間過多の傾向が高まっていると指摘が多かった。
ミドルマネジャーに対する取り組み状況を企業に尋ねると、「ローテーションの実施」をしているのは最近はじめたところをあわせても5割に満たない。
個人カウンセリングに関しては、実施しているのが5割にとどまり、学習機会の整備にいたっては実施が約3分の1程度である。(図表11)

ミドルはプレイヤー、マネジャー、リーダーの三役を担っている。そのため、自分の本務というものが明確でないと感じていると考えられる。
図表12は、ミドルマネジャーがプレイヤー、マネジャー、リーダーの役割をどのように果たしているかというものである。
理想ではプレイヤーを全体の3分の1に抑えたいが、実際は半分近くを占めている。
ミドルマネジャーがプレイングマネジャー化し、比重が高まっているという事実があるのだ。

図表13は主要企業7000社の経営者を対象にした、【当面する企業経営課題に対する調査】である。
この結果のうち、マネジメントで重視していきたいテーマとして回答が多かったのが以下である。
1.「ミドルマネジメント層の能力開発」89.7%
2.「チームワークの重視」84.1%
3.「現場における技術伝承・OJT」83.3%
4.「長期的な経営判断」83.3%
逆に、重要度がもっとも後退したのが、「eメールより対話の重視」55.0%である。
この結果より、コミュニケーション不足が裏付けられる。

現在は、それが職場に現れている。
・連帯感が無く、活性化されていない職場
・不信、不満、不平にあふれた職場
・目標の低い職場
・個人価値がバラバラな職場
この状況から脱却するために、企業の成長、社員の働きがいを両立させるミドルマネジメントが必要なのである。
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